中小金融円滑化法(債務返済猶予法)が施行されました。<平成21年12月4日施行>
平成21年11月30日に、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)」が国会で可決・成立し同年12月4日から施行されました。
この法律は、債務返済猶予法とも呼ばれ、資金繰りに悩む中小企業や住宅ローン支払いが困難になった個人が、返済方法や条件の変更を申し出た場合、金融機関はできる限りの措置を取るよう努力しなさいという内容になっています。
返済条件の変更に応じるか否かは、金融機関の個別判断であり、義務ではありませんが、実施状況や体制の整備状況の開示を義務付けているため、金融機関としてはある程度応じざるを得ない状況になっているとも言えます。
同法の成立の背景には、世界的な経済危機やそれに伴う信用収縮、企業収益の悪化による雇用の悪化や、個人所得の減少があります。
今回は、その中で個人の返済猶予について考えてみたいと思います。
団塊ジュニア世代に住宅ローン負担が厳しく圧し掛かる可能性。
マンション購入(一次取得)の中心となる30~34歳世代の人口は、2005年がピークでした。団塊ジュニアと呼ばれる世代です。2000年ごろからマンションの年間契約数は80,000戸を超える高水準となっており、住宅ローンについても同じように増加していったと思われます。
住宅ローンはキャンペーンなどで当初(3~10年固定くらいが多いのではないでしょうか)利率が低いものも多くありますが、その適用期間が満了になれば、返済額(元利均等の場合は違うかもしれません)増えてしまいます。給与が右肩上がりで増えている場合には、当初返済が軽くて済むこの手の商品も魅力的ですが、給与所得の減少やボーナスの減額、削減などが当たり前となっている現在、収入の減少と金利上昇が同時に発生した場合、家計はたまったものではありません。
しかし、この最悪のシナリオが実際のものになりつつあるのです。
返済を一定期間猶予すること
そこで、前記「中小企業金融円滑化法」が施行され、返済難になっている方々の返済を一定期間猶予することになったのです。(同法は平成23年3月31日までの時限立法です。)これにより債務者は“一定期間”返済額の減額などを認めてもらうわけですが、将来は通常の返済に戻さなくてはいけませんし、そもそもこの法律で減額された元金は、金融機関が債権放棄したわけではありませんので、将来返済をしなくてはなりません。
当初の借入期間を延長しないのであれば月々の返済額が増えますし、返済額を増やさないのであれば、返済期間が長くなるという事です。いずれにしても、利息の支払いが増えるので、トータル支出は増えることになります。
借入額の見直しが必要な可能性も
問題はこの“一定期間”後の返済です。条件変更後に所得が増えているのか、終身雇用が継続されているのか、定年後も仕事があるのかなどです。これらの将来的な不安を解消するには、現在の借入額を見直す必要があります。
そもそも自分にとって無理のない借入額だったのか、今一度確認しなくてはなりません。明らかに無理な借入であれば、返済方法を何度見直したところで解決策は見つかりません。その場合は、借入自体を見直さなくてはいけません。
借入自体を見直すといっても、これは容易なことではありません。担保物件の価値≦借入残高であれば、マイホームを売却しても、金融機関への返済ができません。ある程度の返済が進んでいて、担保物件の価値≧借入残高となっていれば、マイホームを売却し、賃貸物件に引っ越すか、無理のない範囲でローンを組み、物件を取得することもできるかもしれません。
この法律も良く検討の上、多くの選択肢を持てるうちに最善策を
「返済猶予」と聞くと返済の一部もしくは全部が免除されるような錯覚に陥りがちですが、総合的な返済額が減ることはありませんし、金利負担を考えると返済額が増える事の方が多いのが実態です。一度手にしたマイホームを手放すことには抵抗があるかもしれませんが、返済が滞れば、強制的に売却され、手放さざるを得なくなることもあるのです。一つでも多くの選択肢を用意し、最善の解決策を見つけて頂けたらと思います。